監査法人の現況

本日の新聞報道に、あずさ監査法人が1年間の新規受注を停止するとの報道がありました。

東芝問題によって監査に対する社会の目が一段と厳しくなり、「監査の厳格化」が一層求められるようになって来ています。

監査とは決算書に重要な誤りがないかを確かめ、その結果を報告書として提出する仕事です。ある上場企業で決算書に重要な誤りが見つかると、同種の誤りが他の会社でも無いかどうかを確かめなければならず、必然的にチェックするポイントが増えたり、チェックする深度を深くしたりといったことが必要になり、監査にかかる時間が増えていきます。

監査をする側の環境については、極端な人不足に陥っています。公認会計士試験の受験者が少なく、それに伴い合格者も少ない時期が5年以上は続いています。毎年一定の人数が辞めることを考慮すると、人員数は(特に管理職になる前の実務部隊の人員数は)よくて現状維持で、ほとんどの監査法人では減っているでしょう。

業界全体で見ると上場会社数は増えている。加えて上述の通り1社あたりの仕事量が増えている。仕事量の増加する一方で人出は足りないので、1人あたりの仕事量は益々増えます。

業界全体の仕事量が増えるが人が増えない

1人あたりの仕事量が増える

監査法人を辞める人が増える

残された人の仕事量がさらに増える

さらに監査法人を辞める人が増える

このような悪循環が数年前から生じ始めています。

現場レベルではこの悪循環が続くのではないかという認識が当たり前となっています。

そんな中であずさ監査法人の発表は、衝撃的でした。

このアナウンスによる効果としては、

  • 既存従業員のモチベーションが高まる
  • 新規採用が有利になる
  • 監査報酬の値上げ交渉を推進する大義名分になる

が挙げられますが、他の大手監査法人の先陣を切ったことに本気度が感じられます。

 

今後、他の大手監査法人にも同じような動き(発表)が出てくる可能性が高いです。注目していきたいと思います。