個人事業主で起業〜どんな税金がかかる?

個人事業主として起業を考えている方、起業して間もない方に向けて、個人事業主にかかる税金としてどんなものがあるかを紹介します。

所得税

所得税とは、個人の1年間の所得に対して、国から課される税金です。

所得税の計算上、個人の所得は、10の区分に分けられています。このうち、サラリーマンであれば「給与所得」がメインの所得となりますし、個人事業主であれば「事業所得」がメインの所得になります。

事業所得は「事業収入金額ー必要経費」で計算されます。

事業収入金額とはすなわち売上であり、必要経費は従業員の人件費や土地建物の賃借料、減価償却費や交際費等の事業に要した経費が該当します。

実際の税金は事業所得を含む各種所得の合計額に対して、医療費控除や生命保険料控除などの「所得控除」とよばれるものを控除した「課税総所得金額」に対して所得税率を乗じて計算されます。

所得税率は累進課税といって所得が高いほど高い税率が課せられる仕組みになっています。

平成28年度の税率は以下の通りです。

  • 0〜195万円               :5%
  • 195万円〜330万円     :10%
  • 330万円〜695万円     :20%
  • 695万円〜900万円     :23%
  • 900万円〜1,800万円   :30%
  • 1,800万円〜4,000万円:40%
  • 4,000万円以上            :45%

個人住民税

個人住民税とは、都道府県から課される「都道府県民税」と市町村から課される「市町村民税」の総称で、個人の前年1年間の所得に対して課される税金です。

住民税の計算基礎となる所得金額は、基本的に所得税の計算基礎となる所得金額と同様の方法で計算されるのですが、「所得控除」の控除額が所得税と住民税で異なるため、税率を乗じる前の課税所得金額が異なります。

一般的に前年の所得税計算上の課税所得金額よりも住民税計算上の課税所得金額の方が大きくなります。

税率は原則10%です。

個人住民税には別途「均等割」という税金も課されます。均等割は、所得の有無に関わらず課される税金です。

均等割の税額は各都道府県及び区市町村により異なりますが、例えば愛知県名古屋市であれば、県民税2,000円、市民税3,300円(いずれも平成28年度)です。

個人事業税

個人事業税は、個人事業主の事業所得に対して課される税金で、「(収入 − 必要経費 − 専従者給与等 − 各種控除)× 税率 」で算出されます。

個人事業税の税率は業種によって3%〜5%でさだめられていますが、ほとんどの業種は税率5%です。

消費税

消費税は、売上等で受け取った消費税(108万円の税込売上があれば8万円)から、仕入等で支払った消費税(54万円の税込仕入があれば4万円)を差し引いた額(8万円ー4万円=4万円)を納付します。

上記の説明は簡略化しましたが、実際には売上等に含まれる金額や、仕入等に含まれる金額の算定には細かいルールが定められており、計算方法は複雑になる場合が多いです、

印紙税

印紙税とは、印紙税法にて規定されている「課税文書」に課される税金です。代表的な課税文書として契約書や領収書が挙げられます。課税文書に必要な収入印紙を貼り、押印や署名で「消印」を行うことで納税したことになります。

契約書一つを取っても、契約の種類(請負なのか不動産なのか消費貸借なのかetc)や金額によって印紙税の金額は異なるため、実務上は印紙金額の誤りがないか注意が必要です。

固定資産税

毎年1月1日現在、土地や家屋、償却資産(機械装置、構築物や備品)を所有している場合に課される税金です。

「固定資産税課税標準額×1.4%」で算出されます。固定資産税課税標準額は、市町村が決定します。

その他の税金(必要に応じて)

都市計画税

都市計画税は、市街化区域内に所在する土地や家屋に対して課される税金です。

「固定資産税標準額×0.3%」で算出されます。

固定資産税と似ていますが、償却資産は対象外です。また、市街化区域といって、現在の市街地や今後市街地にしていく計画である地域にのみ課される税金です。

事業所税

事業所税とは、東京23区や政令指定都市などの特定の市区町村において、一定規模以上の事業所を営む個人や法人に課される税金です。

事業所税は「資産割」と「従業員割」という2つの税金に分かれます。

資産割とは、対象都市内で使用する事業所等の床面積の合計が1,000㎡を超える場合に課されます。税額は1㎡あたり年間600円で計算されます。

従業員割とは、対象都市内の従業員の合計人数が100名を超える場合に課されます。税額は給与総額の0.25%で計算されます。

登録免許税

登録免許税は法人登記や不動産登記をする際に課される税金です。登録時にかかるのみであるため、毎年発生するものではありません。

例えば株式会社の法人登記にかかる登録免許税は15万円です。

不動産取得税

不動産(土地や建物)を取得した場合に課される税金です。

「取得金額×4%(原則)」で計算されます。

終わりに

以上、代表的な税金を挙げましたが、上記以外にも、社用車を保有する場合には自動車税等の税金がかかりますし、事業内容によっては関税、酒税、タバコ税などの税金がかかってきます。

それぞれの税金ごとに申告・納付の方法や期限も異なるため、税金の申告・納付漏れがないように注意が必要です。必要に応じて税理士に相談することも検討しましょう、