銀行借入の4形態~証書貸付・手形貸付・手形割引・当座貸越の違い
銀行からの借入は、その方法によって4種類(証書貸付・手形貸付・手形割引・当座貸越)に分けられます。
本日は、それぞれの借入方法の概要を簡単に紹介します。
なお、資金調達に関しては下記の過去記事もご参照ください。
証書貸付とは
証書貸付は、銀行と「金銭消費貸借契約書」という契約書(証書)を取り交わすことにより、借入を行う方法です。
契約書という書面を作成するため、契約書の中で返済方法や貸出利率、保証人や担保などの借入条件を柔軟に決めることができる点が証書貸付の特徴です。
手形貸付とは
手形貸付は、約束手形を銀行に振り出すことにより、借入を行う方法です。
約束手形というのは、「X月X日に、〇〇円を支払うことを約束」するものです。これを銀行に対して振り出す代わりに、銀行からお金を貸してもらいます。例えば、「1年後に1,000,000円をA銀行に支払う」約束手形をA銀行に渡す代わりに、950,000円を融資してもらうような形となります。この場合の50,000円(1年間分)が借入利息に該当します。
約束手形を期日に決済(支払)できない場合には、手形不渡りとなり、銀行取引停止処分になります。すなわち、倒産です。したがって、手形貸付の方が返済のプレッシャーが強いという特徴があります。
手形割引とは
手形割引は、取引先から売上代金の回収等で受け取った約束手形を、手形期日が来る前に、銀行に現金化してもらう方法です。例えば、「A社がB社宛に9月25日に振り出した、手形期日が12月25日で手形金額が1,000,000円」の約束手形は、12月25日にならないとB社に支払われませんが、B社はこれを10月1日にC銀行に持ち込むことで、980,000円を受け取ることができます。この場合の20,000円が借入利息、10月1日から12月25日の約3か月間が借入期間に相当します。
手形割引の特徴としては、手形の振出人(上記でいうA社)が約束手形を決済できない場合(手形が不渡りとなった場合)には、A社に代わってB社が銀行に手形代金を支払わなければならない点です。また、手形の振出人の信用力が低い場合には手形割引に応じてもらえない場合があります。振出人の信用力が低いと、割り引いた手形が不渡りとなる可能性が高くなるためです。不渡りとなった場合には、銀行としては手形の割引依頼人から資金を回収する必要が生じ、銀行としてもリスクを負うことなるためです。
当座貸越とは
当座貸越は、銀行に当座預金を開設していることを前提として、銀行と当座貸越契約という契約を締結します。当座貸越契約に基づいて、一定の貸越限度額が設定されており、この限度額の範囲内であれば、借入人はいつでも融資を受けることができるという方法です。
当座貸越の最大の特徴は、限度額の枠内であれば自由な金額とタイミングで借入が行える点にあります。必要な分を必要な時間だけ借入れることができるということは、手元の資金を必要最小限に抑えておいて、必要な時に借入を実施するという経営を実現できる点です。資金に余裕があれば借りなければよいので、借入利息も最小限に抑えることができます。
これを銀行の立場で見ると、限度額の枠内内で自由に借り入れる権利を相手に与えることになります。したがって、相応の信用力を持った相手ではないと、当座貸越には応じてもらえないという点も特徴の一つです。
最後に
今回は4つの方法の概要を説明しましたが、大体のイメージをつかんでいただけたでしょうか。
次回以降は、それぞれの借入形態ごとに、メリット・デメリットを紹介していこうと思います。