勘定科目解説~未払費用と未払金

本日は混同しやすい「未払費用」と「未払金」について解説します。

未払費用と未払金

未払費用も未払金も貸借対照表には当たり前に登場する科目です。書いて字の如く、まだ支払が完了していない債務であることは明白ですが、両者の使い分けはどのように考えればよいのでしょうか。

会計基準における定義

会計基準の一つである「企業会計原則注解」において、以下のように定められています。

未払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、すでに提供された役務に対していまだその対価の支払が終らないものをいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過に伴いすでに当期の費用として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。また、未払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による未払金とは区別しなければならない。
(企業会計原則注解 注5)

未払費用の定義として

  • 一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける
  • すでに提供された役務に対してその対価の支払いが終わらない

とした上で、

  • かかる役務提供契約以外の契約等による未払金とは区別

と結んでいます。

少しわかりにくい記述になっていますので、以下で未払費用と未払金の共通点と相違点に分けてみていきます。

未払費用と未払金の共通点

両者の共通点は、以下の2点です。

  1. 既に(全部または一部の)モノ・役務の提供を受けていること
  2. その支払いが完了していないこと

例えば「モノを買ったけれど、支払は翌月」といったケースや、「修繕工事(役務提供)をしてもらったけれど、支払は翌月」といったケースです。

裏返せば、

  • モノや役務の提供を受けていないのであれば、対価の支払義務が発生しないので、「未払金・未払費用」は生じない。
  • 支払が完了しているのであれば、支払義務はすでに履行しているので「未払金・未払費用」は生じない。

ということになります。

未払費用と未払金の相違点

両者の相違点は「継続的な役務提供契約に該当するかどうか」という点です。

 

ここでいう「継続」とは、期間の経過に伴って役務を受けるという意味であり、継続的に契約を結んでいるという意味ではありません。

継続的な役務提供契約の代表例としては、雇用契約(給料手当)や賃貸借契約(地代家賃)、金銭消費貸借契約(支払利息)、保険契約(保険料)、電気契約やガス契約(水道光熱費)のような契約があります。

一方で、継続的でない役務提供契約は、運送契約(支払運賃)、販売代理店契約(販売手数料)などです。

販売契約(モノの購入)については、未払費用ではなく、未払金または買掛金となります。「販売するための商品」の購入であれば買掛金、それ以外は未払金となります。

以上を整理すると以下のようになります。

販売契約販売するための商品の購入買掛金
販売契約それ以外未払金
役務契約非継続的未払金
役務契約継続的未払費用