中小企業の社債による資金調達~私募債

「社債」という言葉を聞いてどんなイメージを抱きますか?

現在、社債は大企業のみならず中小企業でも積極的に活用されているということをご存知でしょうか?

本日は中小企業とっての社債による資金調達について紹介します。

私募債~中小企業の社債による資金調達

中小企業の資金調達といえば、証書貸付や手形貸付といった銀行融資が思いつくところですが、従来より「私募債(しぼさい)」という資金調達手段が存在します。

私募債とは、少数の投資家が直接引き受ける(発行時に購入する)社債を言います。

少数の投資家とは、機関投資家(銀行や投資ファンド、ベンチャーキャピタルなど)がメインです。創業者やその関係者は、既に株式や貸付金、出資金といった形で出資しているからです。

対義語は「公募債(こうぼさい)」といい、証券会社を通じて広く一般に募集される社債を言います。代表的な例を挙げると、ソフトバンクが今年3月に発行した「第51回無担保普通社債」などが該当します。

私募債発行の大部分は「銀行保証付私募債」

私募債といっても、多くの中小企業に対して投資ファンドやベンチャーキャピタルが出資をするのは例外的です。

私募債のほとんどは、銀行が100%の社債を引き受ける、「銀行保証付私募債」という形態をとります。

銀行保証付私募債とは、企業の発行した無担保社債の100%を銀行が引き受けるものです。社債の引き受けに際して、社債発行企業が償還できない場合に備えて銀行自ら保証をつけます。

私募債による資金調達のメリット・デメリット

■メリット

  • イメージアップ…私募債発行には財務内容を以前は私募債の実行に関して厳しい財務条件があったため、厳しい条件をクリアしないと発行できないという印象が世間には残っており、発行企業のイメージアップに繋がる
  • 固定金利である…発行日の金利を基礎とした固定金利が適用され、償還日まで一定
  • 調達期間が長い…一般的には2年~7年程度が多く満期一括償還が一般的であるため、長期安定的な資金調達が可能
  • 手続が比較的簡単…発行事務手続(契約書等の作成)、事務管理は銀行が実施するため、発行者の事務負担は小さい

■デメリット

  • 金利下落リスク…固定金利であるため、実行時よりも市場金利が下落すると、不利な条件で借り続けなければならない
  • 期限前返済ができない…業績が改善し資金に余裕ができても繰上償還できない
  • 保証料を負担しなければならい…金利以外に保証料発生する